「産んでも育てられない」 赤ちゃん2遺体事件 “産み落とし”女を殺人容疑で逮捕

斉藤真悠容疑者(26)は、9月以降、2回逮捕されていた。埼玉県川越市の自宅アパートに、自分が産んだ赤ちゃんの遺体を放置した疑いと、春日部市の実家の屋根裏部屋に別の赤ちゃんの遺体を放置した疑いだ。
いずれも逮捕容疑は死体遺棄。実家で見つかった遺体は3年前に産み落とされたものだった。そして埼玉県警は、13日、斉藤容疑者をまた逮捕した。自宅アパートで、遺体で見つかった赤ちゃんに対する”殺人容疑”だ。
斉藤容疑者は、8月11日午前2時ごろ、アパートの風呂場の浴槽で赤ちゃんを出産。そのまま、お湯の中から引きあげず、殺害したものとみられている。調べに対して「産んでも育てられない。育てる覚悟ができなかった」と容疑を認めている。
「急にお腹がへっこんだ」「出産したかもしれないが、赤ちゃんの行方が分からない」斉藤容疑者の知人からの通報で、捜査に乗り出した埼玉県警。当初から、殺人容疑を視野に入れていたが、遺体に外傷がなく、死因の特定は難航。
具体的な供述や、防犯カメラ捜査、医師からの専門的な意見などを”積み重ねる”慎重な捜査が続いた。そんな中、春日部市の実家で赤ちゃんの遺体が見つかった「第二事案」が発覚。事件そのものの故意性を固める材料となり、県警は、殺人容疑での立件に踏み切った。

内に抱えた”秘密”を取調官に吐き出した後、容疑者の表情は明らかに変わるという。このエピソードをきいた記者は、2回目の逮捕後の9月末、斉藤容疑者の送検される様子を取材した。本件だけでなく、実家での死体遺棄についても自白した後のことだ。
長い髪が顔にかかり、はっきり表情をうかがうことはできなかったが、ある捜査関係者は「以前と比べて表情は晴れやかになった印象を受けた。少しは胸の内を吐き出せたのではないか」と指摘した。
赤ちゃんが産み落とされ、命を失うといった今回のような事件は、後を絶たない。男と女がいて子どもが生まれるのに、断罪されるのは、多くはその母親だ。斉藤容疑者が、両親に相談した形跡はなく、病院での診察歴も確認されていない。その無責任さは決して許されない。
一方で、今回の事件では、同居男性が父親で「妊娠は知っていたがいつ出産したか知らなかった」と説明している。この男性が逮捕されることはないが、斉藤容疑者が、”抱え込んで”しまったことに、道義的責任が全くなかったかといえば、果たしてそうだろうか。
「産んでも育てられない」「育てる覚悟ができなかった」そんな悩みを持つ女性は少なくないはずだ。”望まれない妊娠”が社会問題化し、各自治体も懸命に対策に乗り出している。しかし失われた”2つの小さな命”が、われわれ社会全体に課した宿題は大きい。
(フジテレビ社会部・埼玉県警担当 金子聡太郎)

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