「裁判官交代手続きなく結審」=違法と住民提訴―東京地裁

東京高裁で行われた訴訟の口頭弁論で、裁判官が交代したのに当事者双方の主張を確認する弁論の更新手続きがないまま結審し、精神的苦痛を受けたとして、東京都や千葉県の住民計16人が12日、国に1人当たり10万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
民事訴訟法は、裁判官が交代した場合、弁論の更新手続きを行うと規定。住民側は「手続きが行われれば、意見陳述の機会も得られるはずだったのに奪われた」と主張している。
訴状や原告代理人弁護士によると、住民側は2017年5月、東京都教育委員会が五輪・パラリンピックの学習補助教材配布のために支出した費用返還を求める訴訟を東京地裁に起こした。
19年3月に請求が棄却されたため、住民側は控訴。東京高裁で同9月に開かれた第1回口頭弁論では3人の裁判官のうち女性が1人いたものの、12月の第2回口頭弁論では全員男性に代わっていることに気付いたという。
しかし、白石哲裁判長は弁論の更新をせずに終結を宣言。住民側の代理人弁護士は20年1月に更新手続きがなかったと指摘する文書を送付し、同2月には弁論再開の申し立てをしたが、高裁から反応はないまま、控訴棄却の判決が言い渡された。判決文は住民側の主張を「裁判官の交代はなく、全くの誤解によるもの」と一蹴した。
原告側は開廷表に書かれた裁判官の名前をメモしていたと説明。情報開示請求で得られた開廷表でも控訴審弁論の第1回は、裁判官1人が女性とみられる名前だった。記者会見した代理人の土田元哉弁護士は「法を無視する態度が明らかだ」と高裁を批判した。

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