香港のタクシー最新事情 日本と似ている点や似てない点も 利用時に注意すべきことは?

タクシーは地元の人にも観光客にとっても重要な足ですが、香港に来ると日本車メーカー…、とくにトヨタのタクシーが多く「ここは日本か?」と勘違いしそうなほど。とは言え、日本との違いもあります。そんな香港タクシーの世界を紹介します。
人口750万人の香港には1万8163台のタクシーがあり、1日当たり約100万人が利用しています。面積は1106平方kmという小さな地域(札幌市とほぼ同じ)というのはご存じだと思いますが、営業できるエリアが3つに決まっています。
ひとつ目は、香港内をどこでも走ることのできる赤色の車体の「市區的士(Urban taxis)」で、1万5250台あります。基本的に香港郊外の新界(New Territories)だけを走るのは車体が緑色のタクシー「新界的士(New Territories taxis)」で、こちらは2838台が登録されています。香港国際空港がある大嶼山(Lautau Island)のみを運行する水色の「大嶼山的士(Lantau taxis)」というのもあり、登録車両はわずか75台です。つまり、赤色のタクシーはどこでも行けるのですが、緑色と水色のタクシーは営業エリアを超えて走ることはできません。
香港のタクシー最新事情 日本と似ている点や似てない点も 利用…の画像はこちら >>香港のタクシーで一番台数が多いのが赤い車体の「市區的士(Urban taxis)」。トヨタ「コンフォート ハイブリッドタクシー」(香港版「JPN TAXI」)も導入されている(2021年9月、藤本真由美撮影)。

料金ですが、初乗りは赤色が24香港ドル(約345円)、緑色が20.5香港ドル(約295円)、水色が19香港ドルです(約273円)。東京のタクシー料金は2017年に初乗り料金が730円から410円に一気に引き下げられましたが、香港はそれよりもさらに安い価格です(筆者が香港に住んだ2001年の赤色タクシーは15香港ドル=216円でした)。この初乗りの安さと、長距離移動といっても土地が狭い香港ですから最終料金もそれなりに低く抑えられることが、1日100万人が利用する要因だと思います。
ただし、赤色のタクシーは別料金が発生することがあります。それは、香港島と九龍地区を結ぶ「海底隧道(Cross-Harbour Tunnel)」、「東區海底隧道(Eastern Harbour Crossing)」、「西區海底隧道(Western Harbour Crossing)」という3本の海底トンネルを走る場合です。この場合、トンネル通行料+復路分の料金(これは法律で定められています)がかかります。「海底隧道」ならトンネル通行料10香港ドル+復路分10香港ドル、「東區海底隧道」は25香港ドル+15香港ドル、「西區海底隧道」は70香港ドル+15香港ドルとなっています。ただし、香港には復路分の料金を払う必要のない専用のタクシー乗り場があちらこちらに点在していて、そこから復路料金不要のタクシーを利用する人が多いです。

タクシー乗り場を示す看板。下には「海を渡る場合、トンネル通行料は片道のみ」と記載されている(2021年9月、藤本真由美撮影)。
車体の色を問わず、すべてのタクシーに共通する料金もあります。例えば、座席に入らないほど大きなスーツケースは6香港ドル(約86円)、犬などの動物は5香港ドル(約72円)が別途かかります。これは日本と違う点ですので注意が必要です。また、香港では基本的に流しのタクシーに乗ることが多いですが、電話予約した場合は5香港ドルかかります。こちらは日本の迎車料金のようなものです。
乗車定員は最大で5人ですが、フロントグリルのあたりに緑色で乗車することのできる人数が掲げられています。なお、3歳以下は人数をカウントしません。ドアは自分で開け閉めします。
日本と同様に後部座席でもシートベルトの着用義務がありますが、違反すると最高で5000香港ドル(約7万2000円)の罰金または3ヶ月の禁固刑となります。これはドライバーではなく乗客自身に科せられるものですので、こちらも香港でタクシーを利用する際の要注意点です。
車を見てみましょう。元々、トヨタの「クラウンコンフォート」が9割以上という圧倒的なシェアを占めてきました。そこに日産などのタクシーがちょっと走っている状況でした。
新界エリアを走る車体が緑色のタクシー「新界的士(New Territories taxis)」。香港のタクシーといえば、トヨタ「クラウンコンフォート」のイメージが強い(2021年9月、藤本真由美撮影)。

ところが、2015(平成27)年に日産が「NV200バネット」を香港向けに改良した「NV200」というミニバンタイプを投入します(LPGとがガソリンを併用するエンジンを導入)。2016年にはフォードの「Transit Connect(トランジット コネクト)」というバンを「珍寶的士(JUMBO TAXI HK)」という名前で走らせ始め、トヨタオンリーのタクシー市場に風穴を開けようとしてきます。これは、結果的に日本より一足先にバン型のタクシーの時代が始まったと言えます。
トヨタは東京五輪を見据えて「クラウンコンフォート」の後継車として2017年に「JPN TAXI」の販売を開始しましたが、香港では2019年から「コンフォート ハイブリッドタクシー」として見かけるようになりました。そんなところに日産「NV200タクシー」の生産が終了となるニュースが飛び込んできました。香港のタクシーは今後もトヨタ1強が続くのではないでしょうか。
香港のタクシーには基本的にカーナビは搭載されていません。小さい街なのでタクシードライバーが道路を把握している面があるからでしょう。もしドライバーが行先をわからない場合はスマートフォンの地図機能を利用することが多いです。
16時台はシフトの関係でタクシードライバーの交代時間ということもあり、流しのタクシーはなかなか見つかりません。筆者の場合、この時間帯は流しのタクシーに乗るのを諦め、普通のタクシー乗り場か大型ショッピングモールのタクシー乗り場に向かうようにしています。乗車できる時間が短縮されることが多いのでお勧めです。

香港において面倒なのがお釣り事情かもしれません。支払い時に1000香港ドル紙幣や500香港ドル紙幣の高額紙幣を出すと断られる場合があります。また、1ドル以下のお釣りは返ってこないことが多いです。もちろん、お釣りは乗客に返さないといけないのですが、香港社会の暗黙の了解でチップ替わりになっている状況です。もちろん「お釣りを返して」と言えば、ちゃんとお釣りが戻ってきます。
一方で電子マネー「オクトパス」に対応しているタクシーもあり、その場合はお釣りの問題は起こりません。領収書(レシート)はドライバーに言えば普通にもらうことができます。
なお、道路脇には黄色で2重の線が引かれている場合があります。これは駐停車禁止の意味なので、乗車も下車もできないので気を付けたいところです。
多くの人でにぎわう香港の中環(セントラル)の交差点。道路脇には2重の黄色い線があり、この場所ではタクシーの乗降はできない(2020年6月、武田信晃撮影)。
香港らしいのは、ドライバーが運転台周辺にとりつけたスマホで、運転中にもかかわらず株の売買をしています。勤務中の売買について、交通安全や倫理の話は別として、金融都市である香港ならではです。ほかにも個人的にスマホの配車アプリに複数登録して予約を受けたり、時には同僚に予約の依頼を回したりするドライバーもいます。それこそ何台ものスマホが運転席周辺にある異様な光景ですが、安全の問題などから香港政府は規制する方向で動いています。
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香港のタクシーは日本と似ている部分もあり、似ていない部分もあります。しかし、料金が安いのと日本車がほとんどなので、外国ではあるものの心理的に利用するハードルが下がる感じがします。

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