社説[衆院選野党共闘]辺野古中止では足りぬ

自民党総裁選の動向に注目が集まる中、野党も近く行われる衆院選に向けた共闘の動きを活発化させている。
立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の野党4党が消費税減税や森友・加計問題の真相究明、原発のない脱炭素社会追求、選択的夫婦別姓制度導入などを含む共通政策に合意した。
共通政策は、2016年参院選で安全保障関連法制廃止を掲げる候補を支援するため結成された「市民連合」が仲立ちし、その提言に4党首が署名する形で結ばれた。市民連合仲介による野党共闘は、同年や19年の参院選で一定の成果を上げている。
今回の衆院選で問われるのは、安保法制や森友問題など安倍晋三前政権の残した負の遺産や、新型コロナウイルス対策につまずき1年で行き詰まった菅義偉政権の功罪だ。自公政権下では実現の難しかったこれら政策を野党が掲げ、国民に選択肢を示すことには意義がある。
一方で共通政策には、政策目標をどう実現するかの過程や財源などの裏付けは盛り込まれていない。全国289の小選挙区のうち立民と共産は約70選挙区で競合する。安倍・菅政権の「説明しない政治」を終わらせるには、何よりも野党候補者の一本化が不可欠だ。一本化により政権交代の現実性は高まり、国民の期待も膨らむことになる。
4野党は、衆院選までの限られた時間の中でこれら課題に応え、今回の衆院選に「政権選択選挙」としての意味を持たせる責任がある。
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共通政策には「地元合意もなく、環境を破壊する沖縄辺野古での新基地建設を中止する」ことも盛り込まれた。

地元の合意がないことは2度の県民投票や18年の知事選結果を見ても明らかだ。国がこの夏強行した埋め立て予定海域でのサンゴ移植は、とても環境保全を重視したものとは思えない。
米軍普天間飛行場の返還合意から既に25年が過ぎた。普天間の危険性除去が返還合意の原点だったはずだが、県内移設の条件が足かせとなり、いまだ返還の見通しは立っていない。
来年は沖縄の復帰50年だ。日米が合意しながら、復帰後の年月の半分以上をかけても返還が実現しないのは、前提となる条件が間違っていたのだと言わざるを得ない。野党は新基地建設中止からもう一歩踏み込み、県内移設を見直す統一見解を打ち出してほしい。それが危険性除去実現への一番の近道である。
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共同通信の9月の電話による世論調査によれば、今回の共通政策に加わっていない国民民主党を足しても野党5党の支持率は計18%で、自民党の46%には大きく水をあけられている。これまでのような政府批判だけでは限界があるのも事実だ。
コロナ禍で深刻な影響を受けている非正規就業者、シングルマザーなどのひとり親世帯への経済支援、中小企業や観光関連産業への直接給付など、共通政策で言及のない項目も多い。これらの具体化を進め、与野党で政策論議を深めてほしい。

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